催眠に対する誤解

   

催眠というと、
「1、2、3、ハイ!あなたは動かなくなる!」
といった、TVで行われているような刺激的な内容が、パッと浮かぶのではないかと思います。

   

そのようなTVを見ていると、急に体が硬くなったように見えたり、イヌのようにふるまったりと術者の言いなりになっているように見えますよね。

   

実はコレ、「ショー催眠」といって、ステージのために面白おかしくしている一つのエンターテイメントなのです。
クライアントさんからよく聞かれる問い合わせ内容に「操られますか?」「記憶がなくなりますか?」という質問がありますが・・・

   

・・・大丈夫です!

   

私たちが行う内容は「セラピー」です。
驚かせるようなことや、ましてクライアントさんを怖がらせるようなことは一切いたしませんので、ご安心ください。

   

それでもセラピーを受けるのが怖くなったときは、いつでも中断することができます

   

ヒプノセラピーにおける「催眠」とは?

   

TVで見かけるショー催眠と違い、通常のヒプノセラピー(催眠療法)では、リラックスしながら徐々に催眠に入っていただきます

でも、「催眠」ってなんだか怖いイメージがあるという方も、世の中にはたくさんいらっしゃいます。
これは、先に説明したTVなどのショー催眠からくるイメージが先行してしまい、本来の「催眠」状態が、誤解されているからです。

催眠というと眠っている印象が強いのですが、実際に意識がなくなったり眠ったりすることはありません
説明するより、まずは「催眠状態」といわれる日常の活動をいくつかご紹介いたしますね。

例えば、以下のような状態が「催眠」といわれる状態です。

・映画を見ながら、物語に入り込んでしまい大号泣した。
・一心不乱に鍋を磨いている。
・リズムよく自転車をこいでいる。
・カフェなどで、くつろいでぼーっとしている。
・朝、寝ぼけて目覚ましを止めたのに、覚えていない。

いかがでしょう? 一つでも怖いことがありましたか?

このように催眠状態とは、日常生活の中で何度も起こっている状態なのです。
何かに集中して周りの意識が途切れたり、記憶がうろ覚えになったりはしますが、いつでも我に返って「いつもの自分」に戻ることができる状態です。
自転車こいでいる時に、いちいちお店の看板を見たり、鍋を磨いている時に周りの音が聞こえなくなって、きちんとおしゃべりできないのは、この「催眠状態(変性意識状態)」になっているからです。

こう考えると「催眠」そのものへの怖さも、少し和らぐのではないでしょうか?

   

なぜ「催眠」を使うの?

   

では、なぜわざわざ「催眠」を使うのでしょう?
普通に話しながら、潜在意識にアクセスする方法はないのでしょうか?

   

人間には「顕在意識」「潜在意識」という2つの意識状態がある、とこちらで説明させていただきました
2つの意識状態をざっくり説明すると、この「顕在意識」は大人の自分になります。
そして「潜在意識」は子どものころの自分であったり、それ以前の自分(!)であったりします。

   

この2つの意識には隔たりがあり、交互に行き来することは非常に難しいのです。
(この隔たりのことを、クリティカルファクターといいます)
大人になってまで、子どもの感覚の自分を日常生活に持ち込むわけにはいきませんよね?

   

そういうわけで、子どものころの自分(潜在意識)にフタをして、普段は大人の自分(顕在意識)が活躍しているというわけです。

   

ですが、子どものころに受けてしまったトラウマは、どうしたらいいのでしょう?
顕在意識から潜在意識にアクセスすることができないのなら、まだ理解が足りず、無知で無垢な小さな自分が感じたネガティブな思いは、一生このままになってしまうのでしょうか。。。

   

実は、この隔たりを緩めるのが「催眠状態」なのです。

   

人は催眠状態になると、顕在意識のフタが緩んで潜在意識へのアクセスが可能になっていきます。
(もちろん、個人差はあります)
通常、顕在意識から潜在意識のアクセスはとてもしにくいのですが、「催眠状態」になると、顕在意識がある程度起きたまま、潜在意識の中身へアクセスすることが可能になるのです。

   

このようにヒプノセラピーでは、「催眠」を用いて潜在意識の中にある感情に焦点を当てていきます。
しかも、大人の自分である「顕在意識」が起きている状態で「潜在意識」の記憶にイメージを用いてアクセスしていますから、ある程度の判断能力があります。

   

ただ、自分一人でこの作業を行うのは、なかなか骨が折れるのです。
なぜなら、いったん潜在意識の方へアクセスしてしまうと、顕在意識ではイメージを制御しにくいからなのです。
明け方に見る夢は「夢だ!」とわかっていても、かなり制しずらいですよね?
それと同じで、一度深い催眠状態に入ってしまうと、潜在意識と顕在意識の2つを自分一人で制御するのは、相当慣れていないと難しいのです。

   

だからガイド役としてセラピストが必要になってくるのです。
それが、私たち「ヒプノセラピスト」です。

   

私たちは、クライアントさんの潜在意識が「見たい」と思っているイメージを見れるよう、お手伝いをさせていただくだけなのです。
そしてクライアントさんの潜在意識が、自分自身でイメージの旅をすることによって、子どものころに受けたトラウマやもって生まれた心の傷を見つけ出し、原因を知ることで、本人でも気が付かないような「癒し」が起こるのです。

   

どうやって「催眠状態」になるの?

   

催眠への入り方にはいくつかの方法がありますが、一番主流となっているのは、目を閉じてリラクゼーションしていただく方法です。

   

リクライニングシートなどに座っていただき、リラクゼーションして、体をゆったりとイメージに集中できる状態にした後、イメージの練習をしながら潜在意識が最も見たいと思っているイメージへ深く意識を入れていきます。
ちょっとうつらうつらしながら、はっきりと自分で意識できる夢を見ているような状態です。

   

この時、五感をすべて使ってイメージしていきますので、ただ「想像している」だけとは違う情報量がたくさん詰まっているのです。

   

イメージには膨大な情報が詰まっています。
そしてイメージは「潜在意識」がつかさどっています。
視覚はもちろんのこと、言葉では言い表せない体感や音、匂いや味覚といった五感すべての情報が含まれています。

   

例えば「いままでで一番す~っぱい梅干を想像してください」といったときに、急に口の中に唾が出始めましたよね?
人によっては、しかめっ面して、あたかもその梅干を食べているかのような表情を浮かべる方もいらっしゃいます。

   

これは過去のイメージの中にある「す~っぱい梅干を食べたとき」の体感を体が思い出し、再現しているからです。
だれも「唾を出して!」なんて指示してませんし、唾なんて出そうと思って出せるものではありません。
ですが「す~っぱい」「梅干」という単語に触れた瞬間、自然と唾が出るのを感じたのではないでしょうか?

   

このように潜在意識というものは、「五感」すべての情報が入っている記憶領域をつかさどっているのです。
そして潜在意識の持つイメージには、言葉や論理的な判断力では処理しきれないほど膨大な情報が入っています。

   

少し話がそれましたが、もう一つ。
ちょっとびっくりしていただいてる間に催眠に入っていただく方法もあります。
びっくりといっても、TVで行うような衝撃的な方法ではなく、少し頭を揺らしたり、腕をちょっと落下させたりといった、軽い体感を用いた方法になります。
これも顕在意識のフタを外す別の方法の一つなのです。

   

いずれの方法にも向き・不向きがありますので、カウンセリングの際にセラピストの方で判断して催眠へと導かせていただきます。

   

お問い合わせ・お申し込みはこちらまで

コメントは受け付けていません。